Think Twice

Memorandum

予想どおりに不合理〜Predictably Irrational

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版


この本、おもしろい。
人がなぜ、合理的な行動をしないか興味深いいくつもの実験で明らかにしていく。

相対性の真理

人は相対的にしか判断・評価できない。
同じくらいの魅力のAとBを用意し、その2つだけで評価するとほぼ半分ずつの選ばれる。
しかし、ここにおとりの選択肢A’(Aよりも少しだけ劣る)を用意すると、
Aを選択する人が圧倒的に増える。
人は絶対評価はできず、相対的な評価で物事を判断・選択している。

自分よりもすこしだけ劣る人と一緒にいるようにすると、
自分の魅力は実際以上に評価される。

需要と供給の誤謬

需要と供給はほっておいても、需要曲線と供給曲線が交わるところで落ち着くとされているが、
人はモノの価値を本当には理解していない。(できない。)
一番最初に感じた価格に刷り込まれ(アンカリングされ)その価格に少なくない影響を受ける。

ゼロコストのコスト

人は無料の魅力に抗うことはできず、非合理的な選択をしてしまう。
(”無料”に惑わされ、損得計算ができなくなる。)
無料のモノにひかれることで、本当に自分にとって利益のあるモノ、機会を失ってしまう。
逆の立場から考えると、何かを(一部を)無料にすることで、人々を引きつけることができる。

社会規範のコスト

社会規範でなりたっているところに市場規範(お金)を持ち込むと、社会規範は消滅してしまう。
人に何か頼むときはお金の報酬ではなく、(たとえ同じ金額であっても、相手の好みでなくても)プレゼントを買って渡した方がよい。

性的興奮の影響

性的に盛り上がると、冷静な判断はできなくなる。(あるあるすぎる。)

先延ばしの問題と自制心

人は何でも先延ばししがちだが、自分で決意表明することにより、先延ばしの問題を解決できる。
もしくは、なりたい(理想とする)自分に近づけることができる。

高価な所有意

自分の所有しているものは実際以上に、高く評価する。
ネットオークションで入札すると、自分のものになったような気がしてくる。
そのときに、他人が自分の入札額を上回ると、当初の予算を超えていても無理して落札してしまう。

扉をあけておく

選択肢が複数あると、どちらかを選んだ方が(仮に選択としては、よくない選択でも)本来の目的を達するのに、どちらも選べなくなってしまう。

予測の効果

人は予測(予想)したことに沿うように感じる。
駅で超一流のバイオリニストがパフォーマンスしていても、気づかない。
また、超一流のホールで、素人が演奏してもそれに気づくことはできない。
雰囲気がとっても大事で、内容はその次である。

価格の力

高価な薬と安価な薬では成分がおなじでも高価な薬のほうがよく効く。
プラセボ効果はあなどれない。

不信の輪

共有地の悲劇”のように、全員が全員の利益を考えて行動すると、全体の利益が最大になるが、
自分一人の利益を最大にするように行動すると、結局は自分の利益も全体の利益も最小になってしまう。
よくないイメージがついていると、実際にはそうでなくとも、よくないイメージに引きずられ、実際の価値どおりに評価できない。

私たちの品性について

私たちは不正直になりやすいが、道徳的なことを心に思うだけで、自分に正直になることができる。

こう書いてしまうとそうだよねという感じになってしまうけれど、
著者が行った実験が本当にユニークでおもしろい。

TEDでも話している。

ダン・アリエリー:我々は本当に自分で決めているのか?(2008) - YouTube